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相続財産の遺留分減殺請求

今回は、相続財産の遺留分減殺請求について、国税庁の質疑応答事例で取り上げられた、「相続時精算課税贈与をした株式の評価額」、「遺留分減殺請求権に基づく判決と異なる相続財産再分配を行った場合の課税関係」の2つの重要項目を見てみます。

※遺留分減殺請求権とは
遺留分減殺請求権とは、現存の積極的相続財産から贈与や遺贈を差し引くと遺留分(※1)の額に達しない場合には、遺留分が侵害されたことになるから、遺留分権利者及びその承継人は、遺留分を保全するため、贈与や遺贈の履行を拒絶し、さらに、既に給付された財産の返還を請求することができる権利とされています(民法第1031条)。
 (※1)遺留分:一定の相続人のために法律上必ず留保されなければならない遺産の一定割合であるとされています(民法第1028条)

1.相続時精算課税贈与をした株式の評価額
相続時精算課税制度の適用を受けて生前に贈与をしている場合では、相続が発生すると、生前贈与をしたときの価額で相続財産に加算されるとされています(相法21の15①)。
非上場株式は、評価が下落してしまうと、相続時点では価値が無いのにも関らず、相続税負担が生じてしまいますので、非上場株式については、相続時精算課税制度を利用して贈与を行うことをためらう経営者も多いのではないかと思われます。

しかし、国税庁からの質疑応答事例では、遺留分の減殺請求をされた場合では、生前贈与時の評価では無く、相続開始時の価額となるという回答事例が公表されました。

<事例>
被相続人である特定贈与者(甲)の相続人(乙)は、甲の生前、相続時精算課税に係るA社株式の贈与を受けていました。しかし、被相続人である特定贈与者の死亡に際し、他の相続人(丙)が、当該贈与は丙に係る遺留分を侵害するものであるとして、乙に対し遺留分減殺請求を行い、A社株式の返還を受けました。
 この場合、当該返還を受けたA社株式の相続税の課税価格に算入される価額は、どうなりますか。

<回答>
「相続税法では、遺留分減殺請求に基づき返還すべき又は弁償すべき額が確定した場合において、それにより財産の返還を受けた者(価額弁償を受けた者を含みます。)は、相続税の申告(期限後申告又は修正申告)をすることができることとされています。
 事例の場合、丙が乙に対して遺留分減殺請求を行使しなかったときには、甲の死亡に係る相続税の課税価格は、乙が相続時精算課税に係る贈与を受けたA社株式の当該贈与時の価額を加算した価額が相続税の課税価格となりますが、丙が乙に対して遺留分減殺請求権を行使したことにより、甲と乙との贈与契約はその効力を失い、A社株式は他の相続人である丙に帰属することとなります。
 したがって、丙は、A社株式を相続により取得したこととなるため、返還を受けたA社株式の相続税の課税価格に算入される価額は、相続開始時の価額(価額弁償を受けた場合には当該価額)となります。」
  と記されています。

2.遺留分減殺請求に基づく判決と異なる相続財産再分配を行った場合
 <事例>
  遺留分減殺請求に基づく判決と異なる相続財産再分配を行った場合の課税関係はどうなりますか。

<回答>
名古屋国税局は、遺留分の減殺請求に基づく判決と異なる相続財産再分配を行った場合は、原則として、贈与税又は所得税の課税関係が生ずると回答しました。
  回答理由として、以下のように記されています。

  まず、遺留分減殺請求権の法的性質として、「一般に遺留分減殺請求権は形成権であると解されるから(最高裁判所昭和41年7月14日第一小法廷判決)、同請求権の行使により、贈与又は遺贈は遺留分を侵害する限度において失効し、受贈者又は受遺者が取得した権利はその限度で当然に減殺請求をした遺留分権利者に物権的に帰属するものと解するのが相当である。」との判示を記載しています。

  次に、遺留分減殺請求と遺産分割の関係について、「最高裁判所は、遺言者の財産全部についての包括遺贈に対して遺留分減殺請求により取り戻した財産は、取り戻した遺留分権利者の固有の財産であるとの考えを明らかにしている」と考えるとしています。

  相続税の課税財産について、「当初の遺産分割などにより取得した財産について、各人に具体的に帰属した財産を分割のやり直しとして再配分した場合には、一般的には、共同相続人間の自由な意思に基づく贈与又は交換等を意図して行われるものであることから、その意思に従って贈与又は交換等その態様に応じて贈与税又は譲渡所得等の所得税の課税関係が生ずることとなります(一定の場合を除く)」としています。

「遺留分減殺請求権の行使により取得した資産の共有持分権は、遺留分減殺請求権の行使により遺留分権利者に物権的に帰属し、その資産に遺留分権利者固有の財産としての共有持分を有したものであるから、遺産分割の対象となる相続財産としての性質を有しないと解されており、遺留分減殺請求権の行使により取得した資産の共有持分権が遺留分権利者の相続税の課税財産となります。また、遺留分による減殺の請求に基づき返還すべき、又は弁償すべき額が確定したことは、相続税法特有の更正の請求事由として規定されています(相法32三)。」と記されています。

詳しくは、国税上のHPをご参照下さい。
<参考>http://www.nta.go.jp/nagoya/shiraberu/bunshokaito/sozoku/100302/01.htm

| 2010.04.01 |

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