最高裁 法人負担の保険料、所得税の控除対象と認めず
最高裁判所第二小法廷は1月13日に、法人が負担した保険料は、満期保険金を取得した法人役員の所得税の控除対象と認めないという判決を下した。

原審では、所得税法34条2項の文言からは、控除できる保険料等が、所得者本人が負担した金額に限られるかどうか明らかでは無く、同法施行令183条2項2号では保険料総額を控除できるものと定めており、同法基本通達34-4が規定する保険料又は掛金の額には一時金の支払いを受ける者以外の者が負担した保険料又は掛金の額も含まれているという理由から、法人が負担した分も含め、保険料全額を控除できるとものと判断し、納税者の請求を認めた。
しかし、最高裁では、『一時所得に係る支出が所得税法34条2項にいう「その収入を得るために支出した金額」に該当するためには、それが当該収入を得た個人において自ら負担して支出したものといえる場合でなければならないと解するのが相当』、『本件保険金に係る一時所得の金額の計算において控除することはできないものというべき』と解し、法人が保険料として損金算入した部分は、必要経費として控除できないと判断、原審の判決を破棄した。
また、1月16日にも、類似事件に対し同じ旨の最高裁判決が下されている。
問題となった養老保険は、一般的な法人契約である「死亡保険金の受取人を従業員遺族、満期保険金の受取人を法人とする養老保険」とは逆の形態であり、保険期間が3年又は5年と短く、法人税基本通達の想定外のものであった。
これらの事件をきっかけに、法人契約の養老保険を利用する租税回避を防止するため、平成23年度税制改正では、個人が支払いを受けた生命保険契約等に基づく一時金に係る一時所得の計算上、その支払を受けた金額から控除することができる保険料は、給与所得に係る収入金額に算入された金額に限る旨が、規定された。
| 2012.01.30 | STCニュース |
法人税基本通達等の一部改正
国税庁は平成23年12月28日「法人税基本通達の制定について」他4件の法令解釈通達の一部について、平成23年6月税制改正に関する事項の改正を公表しました。主な改正点は、次の通りです。
① 法人税基本通達等関係
平成23年6月税制改正による耐用年数短縮特例に対応する通達が新設されました。
耐用年数短縮特例とは、税務上、実際の耐用年数が法定耐用年数に比べて著しく短いこととなった場合に、所轄国税局庁の承認を受ければ、未経過使用可能期間を法定耐用年数とみなし、将来にわたって減価償却費を調整することができるというものです。
新設
・機械及び装置以外の減価償却資産の未経過使用可能期間の算定(法基通7-3-20の2)
機械及び装置以外の減価償却資産に係る未経過使用可能期間は、使用可能期間を算定しようとする時から通常の維持補修を加え、通常の使用条件で使用するものとした場合において、通常予定される効果をあげることができなくなり更新または廃棄されると見込まれる時期までの見積年数(1年未満の端数切捨て)によることを明らかにしています。
・機械及び装置の未経過使用可能期間の算定(法基通7-3-21の2)
機械及び装置の未経過使用可能期間は、個々の資産の取得価額(償却基礎価額)及びその個々の資産の使用可能期間を基礎として、耐用年数通達の未経過使用可能期間の算定式に従って算定した年数によると定められました。
・総合償却資産の未経過使用可能期間の算定(耐通1-6-1の2)
総合償却資産の未経過使用可能期間は、総合償却資産の未経過期間対応償却基礎価額を、個々の資産の年要償却額の合計額で除して計算した年数(1年未満の端数は切り捨て、その年数が2年未満の場合は2年とする。)によることを明らかにしています。
* 未経過期間対応償却基礎価額とは、個々の資産の年要償却額(償却基礎価額を使用可能期間で除した額をいう。)に経過期間の月数を乗じて12で除して計算した金額の合計額を、個々の資産の償却基礎価額の合計額から控除した残額をいいます。
② 租税特別措置法通達関係
平成23年6月改正により創設された雇用促進税制では、当期における給与支給額が、前期における給与支給額に雇用者の増加割合を乗じて計算した金額に比して30%以上増加していることが条件となっています。
この給与の支給に充てるため、他の者から支払を受ける金額は、給与支給額の算定から控除する必要がありますが、その金額について次のように定められました。
新設
他の者から支払を受ける金額の範囲(措通42の12-2)
① 特定就職困難者雇用開発助成金、特定求職者雇用開発助成金など、労働者の雇入れ人数に応じて国等から支給を受けた助成金の額
② 法人の使用人が他の法人に出向した場合において、その出向者に対する給与を出向元法人が支給することとしているときに、出向元法人が出向先法人から支払を受けた給与負担金の額
その他、外国子会社合算税制(タックス・ヘイブン対策税制)について配当収入の効力発生日は現地国法令が優先されること、特定所得の源泉税等の額が配当収入や利子収入の控除対象となることが、留意的に示されました。
| 2012.01.25 | STCニュース |
震災特例法の一部を改正する法律
平成23年4月27日に、東日本大震災の被災者等の負担の軽減等を図るため、「東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律」(以下、「震災特例法」といいます。)が施行されました。
また、平成23年12月14日には、東日本大震災の被災者等の負担の軽減及び東日本大震災からの復興に向けた取組の推進を図るため、「震災特例法の一部を改正する法律」が施行されました。
この「震災特例法の一部を改正する法律」の施行により新たに追加された措置について、所得税・法人税に関する項目をいくつかまとめてみました。
<所得税>
(1) 住宅借入金等特別控除の特例
① 住宅の再取得等に係る住宅借入金等特別控除の控除額の特例
東日本大震災によって自己の所有する家屋が被害を受けたことにより、自己の居住の用に供することができなくなった方が、住宅の取得等をしてその住宅を居住の用に供した場合には、選択により通常の住宅借入金等特別控除の適用に代えて下記の居住年に応じた控除率による「住宅の再取得等に係る住宅借入金等特別控除の控除額の特例」を適用できます。(控除期間は10年)
(注)この特例の対象となる住宅の再取得等とは1.住宅の新築や購入の場合2.家屋の増改築等の場合をいいます。

②東日本大震災によって居住の用に供することができなくなった家屋に係る住宅借入金等特別控除と再取得等をした住宅に係る住宅借入金等特別控除の重複適用の特例
東日本大震災によって居住の用に供することができなくなった家屋に係る住宅借入金等特別控除と東日本大震災の被災者の住宅の再取得等の場合の住宅借入金等特別控除は重複して適用できます。この場合控除額はそれぞれの控除額の合計額となります。
(2)雑損控除の損失額の計算等における災害関連支出に係る対象期間の延長の特例
災害関連支出については、その災害がやんだ日から1年以内に支出したものが雑損控除の対象となりますが、東日本大震災により住宅や家財に損害が生じた場合には3年以内に支出されるものが対象となります。
(3)雑損失の繰越控除等の要件の改正
雑損失の金額でその年分の所得金額から控除しきれない金額を、翌年以後繰越して控除する場合は①損失が生じた年分につき、原則としてその損失に関する事項を記載した確定申告書を確定申告期限までに提出していること②その翌年以後の年分につき、連続して確定申告書を提出していることがその要件とされていましたが、①の要件については確定申告書を確定申告期限後に提出した場合でも適用を受けることができることとされました。
(4)復興特別区に係る税制上の特例措置
・所得税額の特別控除
認定地方公共団体の指定を受けた方が、その指定があった日から5年を経過する日までの期間(以下「適用期間」という。)内の日の属する各年の適用期間内において、復興産業集積区域内の事業所で雇用する被災者等に対して給与等を支給した場合には、その支給した額の10%相当額(事業所得にかかる所得税額の20%を限度。)をその年分の所得税額から控除できます。
上記特例措置のほか、事業用設備等の特別償却等、開発研究用資産の特別償却等、被災者向け優良賃貸住宅の特別償却等の特例措置あり
(5)被災代替資産等の特別償却の対象への二輪車等の追加等
被災代替資産等(東日本大震災により滅失等した建物・構築物・機械装置・船舶・車両運搬具等で適用要件・適用範囲を満たすもの)を平成23年3月11日から平成28年3月31日までの間に事業の用に供した場合には、取得時期等に応じた一定の償却割合を乗じた金額の特別償却をすることが可能とされてますが、この被災代替資産等に二輪車等が追加されました。
(6)被災者向け優良賃貸住宅の割増償却
特定激甚災害地域内において、平成23年12月14日から平成26年3月31日までの間に、被災者向け優良賃貸住宅を取得又は新築してこれを賃貸の用に供した場合には、賃貸の用に供した日以後5年内の各年について、不動産所得の金額の計算上、その被災者向け優良賃貸住宅の償却費としてその年の普通償却額の100分の150(耐用年数35年以上のものは100分の170)に相当する金額を必要経費に算入することができます。
(7)買換資産の取得期間等の延長の特例
買換えの特例等の適用を受ける方が、東日本大震災に起因するやむを得ない事情により、買換資産等の取得をすべき期間内にその取得をすることが困難となったときには、納税地の所轄税務署長の承認手続きを経て、その取得をすべき期間を経過した日以後2年以内の日で買換資産等を取得できるものとして税務署長が認定した日等までその取得をすべき期間の延長が認められます。
(8)被災居住用財産の敷地に係る譲渡期限の延長の特例
所有しその居住の用に供していた家屋が、東日本大震災により滅失等したことによって、居住の用に供することができなくなった方について、その居住用家屋の敷地の用に供されていた土地等を譲渡した場合の次に掲げる譲渡所得の課税の特例に係る譲渡期間の要件が、災害のあった日から7年(措置法では3年)を経過する日の属する年の12月31日までの間とすることとされました。
①居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例
②居住用財産の譲渡所得の特別控除
③特定の居住用財産の買換え等の場合の長期譲渡所得の課税の特例
④居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除
⑤特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除
その他下記の特例が追加されております。
(9) 復興指定会社が発行した株式を取得した場合の寄付金控除の適用
(10)確定優良住宅地等予定地のための譲渡の特例期間の延長の特例
(11)被災市街地復興土地区画整理事業による換地処分に伴い代替住宅等を取得した場合の譲渡所得の課税の特例
(12)被災市街地復興土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の譲渡所得の特別控除の特例等
<法人税>
(1)復興特別区域制度の創設に伴う特例
①新規立地促進税制
東日本大震災復興特別区域法(以下「復興特区法」という。)の施行日から平成28年3月31日までの間に認定地方公共団体の指定を受けた法人で、復興産業集積区域内に新設されたものについては、指定のあった日から同日以後5年を経過する日までの期間(以下「適用期間」という)内の日を含む各事業年度において法人税の課税が繰り延べられるよう、次の特例を受けることができます。
1.所得金額を限度として再投資等準備金を積み立てたときは、その積立金を損金の額に算入できます。
2.復興産業集積区域内で機械又は建物等に再投資等を行った事業年度において、準備金残高を限度として特別償却ができます。
(2)被災雇用者等を雇用した場合の法人税額の特別控除
復興特区法の施行日から平成28年3月31日までの間に認定地方公共団体の指定を受けた法人が、適用期間内の日を含む各事業年度において、復興産業集積区域内の事業所で雇用する被災者に対して給与等を支給する場合には、適用期間内の給与等支給額の10%税額控除(法人税額の20%を限度。)ができます。
上記特例措置のほか、事業用設備等の特別償却等、研究開発税制の特例等、被災者向け優良賃貸住宅の特別償却等の特例措置あり
(3)被災代替資産等の特別償却の特例
震災特例法で措置された被災代替資産等の特別償却の特例について、特別償却の対象となる被災代替資産に二輪車等が追加されています。
(4)被災者向け優良賃貸住宅の割増償却の特例
平成23年12月14日から平成26年3月31日までの間に特定激甚災害地域内において新築された被災者向け優良賃貸住宅の取得等をして、賃貸の用に供した場合には、5年間、普通償却限度額の50%(耐用年数35年以上のものは70%)の割増償却ができます。
(5)災害による繰越損失金の範囲の改正
災害損失欠損金額となる災害により生じた損失額の範囲について、東日本大震災などの大規模な災害の場合には、災害のやんだ日の翌日から3年(改正前は1年)以内に支出する費用に係る損失の額が含まれます。
その他下記の特例が追加されております。
(6)被災市街地復興土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の所得の特別控除の特例等
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