仮想通貨(暗号通貨)と非居住者

2018.03.05

最近、問い合わせが増えているのが、非居住者が日本の取引所を利用して仮想通貨の売買をしたら、日本で課税されますか??という質問。

特に、昨年高騰した仮想通貨を含み益のまま持っている人にとっては、日本で最高56%近い税金を納めるより、キャピタルゲイン非課税の国で利益を実現させたいと思うことは当然でしょう。

結論から言えば、非居住者が日本の取引所を利用して、仮想通貨の売買をした場合、日本での納税は必要ありません。
非居住者に対して、日本で課税できる所得については、所得税法161条、164条その他関連条文に定められていますが、日本の取引所を利用した仮想通貨の取引については、そのどれにも該当しないので、日本に課税権はない、つまり日本での納税は必要ないこととなります。

大口株主等でない場合に、株の売買をしても日本に課税権がないのと同様の考え方によるものだと考えられます。

一部、インターネットサイトに所得税法161条1項17号の「前各号に掲げるもののほかその源泉が国内にある所得として政令で定めるもの」に該当し、所得税法施行令第289条7号の「国内において行う業務又は国内にある資産に関し供与を受ける経済的な利益に係る所得」なので、日本での納税が必要という記述が見受けられますが、仮想通貨の売買益が「供与を受ける経済的利益」に該当するという解釈は、日本語の意味を考えると不可能ですので、これには該当しません。

ただし、法令は今後改定されることもありますので、将来的に改定され、日本の取引所を利用した売買は日本で課税するという法令になることも考えられますので、将来的な取り扱いの変更に対する注意は必要です。(その場合でも過去に遡って課税ということはありえません)

なお、仮想通貨は有価証券ではありませんので、1億円以上の有価証券を有する場合に含み益に対して課税する「国外転出時課税制度」(いわゆる出国税)の対象にはなりません。



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