財産債務調書・国外財産調書の提出期限についてのリマインド

2024.06.10

令和4年度税制改正において、令和5年分以後の財産債務調書等の提出義務者・提出期限について改正がされました。

その中で、財産債務調書・国外財産調書の提出期限が翌年の3月15日から、翌年の6月30日になりました。

(※今年は6月30日が日曜日のため、令和5年分の財産債務調書等の提出期限は令和6年7月1日(月)です。)

実務においては3月中旬に所得税の確定申告作業に合わせて、財産債務調書等の提出義務の有無の確認及び提出を完了させることが多いと思いますが、
改正により確定申告義務がない個人についても財産債務調書の提出が必要とされることがありますのでご留意ください(下記2.)。

財産債務調書の提出義務者

1.確定申告の提出義務者等で、所得が2,000万円を超え、かつ、次のいずれかを満たす方
① その年の12月31日において財産を3億円以上保有する方
② その年の12月31日において有価証券等を1億円以上保有する方

2.その年の12月31日において財産を10億円以上保有する方(新設)


株高及び円安の影響

それから、昨年より今年にかけてしばらく続いている世界的な株高や円安の影響等を踏まえ、外貨建て資産をお持ちの方の中にこれまで提出対象となっていない方でも為替相場や株式市場等の外部環境の影響により財産の評価額が増え両調書の提出対象になる可能性があります。

一度ご自身が保有している財産の棚卸を行い、評価額を算出することが必要であると考えております。


未提出への罰則

① 財産債務調書
未提出自体への罰則は設けられていませんが、提出期限内に提出がない場合または提出した財産債務調書への記載漏れの財産がある場合(記載内容が不十分な場合を含みます)に所得税の申告漏れが生じたときは、その財産または債務に係る過少申告加算税及び無申告加算税が5%加重されます。

② 国外財産調書
国外財産調書に偽りの記載をして提出した場合または国外財産調書を正当な理由がなく提出期限内に提出しなかった場合には、1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処されることがあります。(ただし情状酌量により刑を免除されることがあります。)

また、財産債務調書の制度と似て、国外財産調書の提出が提出期限内にない場合または提出期限内に提出された国外財産調書に記載すべき国外財産の記載がない場合(重要なものの記載が不十分であると認められる場合を含みます。)に、その国外財産に関して所得税・相続税の申告漏れ(死亡した方に係るものを除きます。)が生じたときは、その国外財産に係る過少申告加算税等が5パーセント加重されます。


提出義務があり提出がまだ済ませていない方におかれましては、ぜひ今月中にご準備及び提出の手続きを宜しくお願い致します。


以前弊社のニュースコラムでも改正について取り上げられましたが、詳細の内容については下記国税庁が掲載してパンフレットをご参照ください。

国税庁【財産債務調書制度等の見直しについて】

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hotei/zaisan_saimu/pdf/zaisan_leaflet.pdf

また、財産債務調書、国外財産調書の様式・あらまし・FAQについては下記国税庁ホームページに掲載されております。
作成及び提出にあたりぜひご参照ください。

財産債務調書

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hotei/zaisan_saimu/index.htm

国外財産調書
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hotei/kokugai_zaisan/index.htm


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