【令和8年度改正】賃上げ促進税制はどう変わる?中小企業が押さえておきたい継続と変更のポイント

2026.03.25

桜のつぼみもほころび、春の訪れを感じる季節となりました。

3月も下旬となり、多くの企業様にとっては年度末の締めくくりや、新年度に向けた準備で非常にお忙しい時期をお迎えのことと存じます。

さて、この時期に改めて見直しておきたいのが、今後の経営計画にも関わる「税制改正」の動向です。特に令和8年度(2026年度)の改正では、企業の「賃上げ」を支援する仕組みに大きな転換点が訪れます。

新年度のスタートを前に、自社の税負担や採用計画にどう影響するのか。中小企業の皆様が今から押さえておくべき「3つの重要ポイント」を分かりやすく整理しました。

1. 企業規模による適用の「二極化」が進む

今回の改正で最も大きなトピックは、企業規模に応じた適用の線引きが厳格化されたことです。

  • 大企業向け(資本金10億円以上かつ従業員1,000人以上、または従業員2,000人超): 2026年3月末をもって制度が終了となります。これ以降の賃上げについては、税額控除の対象外となるため注意が必要です。

  • 中堅企業向け(従業員2,000人以下): 要件厳格化(最低賃上げ率が従来の3%から4%以上)の上で1年間のみ継続し、適用期限である令和9年3月31日をもって廃止されます。

「自社がどの区分に該当するか」を今一度正確に把握しておくことが、今後の経営計画において重要になります。

2. 中小企業向けは「継続」。赤字でも活用できる「繰越控除」の重要性

一方で、資本金1億円以下などの「中小企業」については、現行の優遇措置が維持されます。

特に注目したいのが、令和6年度から導入されている「繰越控除制度」の活用です。

【実務上のポイント】 従来は「黒字(法人税が発生する状態)」でないと減税の恩恵は受けられませんでした。しかし現在は、「赤字の年度に賃上げを行っても、その控除枠を最大5年間持ち越せる」仕組みになっています。

「今は先行投資の時期で利益が出にくいが、将来のために人材を確保したい」という企業様にとって、この5年間のストックは将来の黒字化に向けた確かな備えとなります。

3. 「教育訓練費」の上乗せ廃止と、これからの控除率

これまで、社員の研修費用などを増やすことで控除率を10%加算できる措置がありましたが、今回の改正で全区分において廃止される見通しです。

これにより、中小企業の最大控除率は以下のように変化します。

  • 改正前: 最大45%(賃上げ+教育訓練+子育て・女性活躍)

  • 改正後: 最大35%(賃上げ分最大30% + 子育て・女性活躍5%)

今後は「教育訓練費の額」ではなく、「給与水準の引き上げ」と「仕事と育児の両立支援(くるみん・えるぼし認定など)」が、税制優遇を受けるための柱となっていきます。


まとめ

令和8年度以降、賃上げ促進税制はより「中小企業の経営基盤強化」を支える制度としての性格が強まっています。

「うちは赤字だから関係ない」と考えるのではなく、将来の成長を見据えた人材投資の一環として、この制度を賢く取り入れていくことが大切です。


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