【令和8年度税制改正】インボイス制度の経過措置が見直されました――2割特例終了後に備える実務ポイント
2026.04.24
若葉が目に鮮やかな季節となりました。
4月は新年度の始まりでもあり、事業計画や経理体制を見直す企業様も多い時期かと存じます。
さて、令和8年度税制改正では、インボイス制度に関する経過措置の見直しが行われました。
インボイス制度開始後の負担軽減措置として活用されてきた「2割特例」や、免税事業者等からの仕入れに関する控除経過措置について、今後のスケジュールが変わっています。
今回は、中小事業者や個人事業者の皆様が今のうちに押さえておきたい実務上のポイントを、分かりやすく整理いたします。
【1.2割特例は「令和8年9月30日までの日の属する課税期間」まで】
インボイス発行事業者となった小規模事業者に認められている「2割特例」は、令和8年9月30日までの日の属する課税期間までが適用対象となります。
この特例は、売上に係る消費税額の2割を納付税額とすることができるため、制度開始後の事務負担を軽減する措置として多くの事業者に利用されてきました。
しかし、今後は恒久的に使える制度ではないため、「次の申告からどの計算方法になるのか」を早めに確認しておくことが重要です。
特に、これまで2割特例を前提に納税額を見込んでいた事業者様は、今後の資金繰りや価格設定にも影響する可能性がありますので注意が必要です。
【2.個人事業者には「3割特例」が創設されました】
今回の改正では、一定の要件を満たす個人事業者について、令和9年分・令和10年分の消費税申告において「3割特例」が設けられました。
これは、インボイス発行事業者の登録を受けたことにより免税事業者から課税事業者となった個人事業者が、一定の要件を満たす場合に、納付税額を売上税額の3割とすることができる特例です。
ただし、この特例は法人には適用されません。
また、基準期間の課税売上高が1,000万円以下であることなど、適用要件の確認も必要となります。
個人事業者の方にとっては、2割特例終了後の選択肢の一つとなりますが、実際に有利となるかどうかは事業内容や仕入れの状況によって異なります。
一律に判断せず、一般課税や簡易課税制度との比較も含めて検討することが大切です。
【3.免税事業者等からの仕入れに係る控除は「7・5・3割控除」へ見直し】
インボイス発行事業者以外の者からの課税仕入れについて、一定割合の仕入税額控除を認める経過措置も見直されました。
従来は、令和8年10月以後は50%控除に移行する予定でしたが、改正後は次のように段階的に縮小されます。
・令和8年10月1日から2年間:70%控除
・令和10年10月1日から2年間:50%控除
・令和12年10月1日から1年間:30%控除
・令和13年10月1日以後:控除不可
また、この「7・5・3割控除」については、インボイス発行事業者以外の同一相手先からの課税仕入れの合計額が、その年または事業年度で1億円を超える場合、超えた部分については適用できない点にも注意が必要です。
外注先や仕入先に免税事業者が含まれている企業様は、今後の原価管理や取引条件の見直しにも関わるため、早めの整理をおすすめいたします。
【4.簡易課税制度への移行は、届出期限の特例も確認を】
通常、簡易課税制度を適用するためには、原則としてその課税期間の開始前日までに届出書を提出する必要があります。
もっとも、2割特例または3割特例を適用した後の課税期間については、一定の場合に、その課税期間の申告期限までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出することで、当該課税期間から簡易課税制度を適用できる特例が設けられています。
2割特例の終了後、一般課税に移行するのか、簡易課税を選択するのかによって、納税額や事務負担は大きく変わります。
「今までどおり」で進めてしまうのではなく、今後の申告方法を事前にシミュレーションしておくことが重要です。
【まとめ】
インボイス制度は導入時の混乱期を経て、いま「経過措置の次の段階」へ進みつつあります。
2割特例の終了や、仕入税額控除の段階的縮小は、今後の納税額や実務負担に直接影響します。
特に、個人事業者の方は3割特例の適用可能性を、法人・個人を問わず事業者の皆様は簡易課税制度の選択や仕入先の整理を、早めに検討しておくことが大切です。
制度改正は「知ってから対応する」のではなく、「始まる前に備える」ことで負担を大きく減らすことができます。
ご不明な点や、自社にとってどの方法が有利か判断に迷われる場合は、ぜひお気軽にご相談ください。
【国税庁HP】
国税庁:令和8年度税制改正特集
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice-review/index.htm
国税庁:消費税法改正のお知らせ(令和8年4月)
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shohi/kaisei/pdf/r08kaisei.pdf
※本記事は2026年4月時点の情報に基づいて作成しています。実際の税務判断に際しては、最新の法令・公表資料をご確認のうえ、必要に応じて専門家へご相談ください。
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